LLMで業務効率を劇的に改善!UI/UXディレクターの実践活用法

こんにちは、ディレクターの菅原です。Webやアプリのディレクター業務で、時間に追われて「あれもこれも!」とバタバタすること、よくありませんか?案件ごとのやり取り、クライアントの気まぐれなリクエスト、そして仕様変更…。私はリモートワークをしているのですが、ちょっとした質問や確認でも気軽に相談できる相手がいないことが悩みの種です。

そんな時、私にとって頼れる相棒がLLM(大規模言語モデル)。私が主に使っているのは、ChatGPT-4やClaudeといった高度なAIアシスタントです。さらに、Perplexityを使った効率的な情報検索、tl;dvによる会議の議事録自動化、PLAUDNOTEでの記録・整理も行っています。それぞれが異なる役割でサポートしてくれるので、さまざまな業務を効率的に進められています。

LLMはまるで、なんでも気軽に質問できる先輩であり、ちょっとした相談や雑談もできる同僚であり、面倒なタスクを頼める後輩のような存在です。必要なときにすぐに答えが返ってきて、複雑な説明もスッキリとまとめてくれる頼もしさがあります。

この記事では、私がLLMをどのように活用し、UI/UXプロジェクトの進行を効率化しているか、その実践例をお届けします。


1. 提案・調整フェーズでの活用

クライアントから急に「これって〇〇日までにできませんか?」なんて無茶ぶりをもらったとき、つい「はあ!?無理です!」と答えたくなるもの。でも、それだと関係がちょっとギクシャクしてしまいますよね。そんな時、LLMに頼ると、しっかりと丁寧な対応文を作ってくれるんです。

具体例:

あるクライアントから「この仕様追加、来週までにできますか?」と無茶なお願いが…。ここでLLMに「どう返したら良い?」と聞くと、「ご提案いただきありがとうございます。ただ、現在のスケジュールでは〇〇のため対応が難しいため、△△な代替案をご提案させていただければと思います」といった、冷静で丁寧な返信が即座に生成されました。返信後、クライアントも理解してくれ、無理難題を和やかに回避!LLMに感謝、感謝です。

プロンプト例:

「クライアントからの要求に対して断る返信文を作成してください。丁寧かつプロフェッショナルに、代替案を示しながら、現在の予算では対応が難しい旨を伝えてください。」

LLMに頼ると、自分の気持ちが高ぶる前に冷静で洗練された対応ができるので、提案・調整フェーズがぐっとスムーズに進みます。


2. ミーティング記録での活用

ディレクターの業務の多くは、MTGに費やされます。1日の半分以上が会議ということも珍しくなく、進行しながら議事録を取るのは至難の業です。そこで重宝しているのが、tl;dvのような議事録ツール。会議内容を自動で記録し、後から簡単に確認できるので、他の業務に集中する時間が増え、全体的な効率が向上しています。


3. 情報検索での活用

リサーチの際、最近ではPerplexityを検索ツールとして使うようになり、以前よりも効率的に情報収集ができています。Googleで検索する場合、情報が膨大でどれを参照すべきか悩むことも多かったですが、Perplexityは信頼性が高い情報を要点ごとに整理して表示してくれるため、素早く必要な内容にたどり着けます。これにより、情報収集の時間が短縮され、判断に必要な情報がより明確に見えるようになりました。

プロンプト例:

「Webデザインの最新トレンドについて、要点を要約してください。特にユーザーエクスペリエンスを高める要素に焦点を当ててください。」


4. サービス設計フェーズでの活用

サービス設計フェーズでは、クライアントから提供されるインタビューやエキスパートレビューの資料が山のようにありますよね。全部に目を通すのはさすがに大変…!そこでLLMの出番。膨大な情報を短時間でサクッと要約してくれるので、いつも助けられています。

  • インタビュー結果のデータ分析: クライアントからもらったリニューアル前のインタビュー結果を要約し、ユーザーの不満やニーズを一気に把握できます。LLMにおまかせすると、「ここが一番の課題!」とまるで要点だけを見抜いてくれるかのようにまとめてくれます。
  • エキスパートレビュー(ヒューリスティック評価)の要約: エクストーンのメンバーで行ったヒューリスティック評価のフィードバックも、LLMでコンパクトに。LLMが一言でまとめてくれるので、「あれ、こんなにシンプルだったっけ?」と思うことも多々あります(笑)。
  • ユーザーストーリー作成: ユーザーの行動や心理の移り変わりを小説のように表現し、よりリアルな利用シーンを描きます。LLMは物語生成が得意なので、特定のシナリオをもとに、ユーザーの葛藤や解決プロセスを自然に描き出してくれるのです。たとえば、あるサービスを使うユーザーの心理が移り変わる様子を、次のように描いてもらいます。

ユーザーストーリー作成プロンプト例:

「ユーザーがプロジェクトを進める中で、どのような課題や心理的な変化を経験するかを物語形式で書いてください。特に、ユーザーが困難を感じたポイントと、それを解決するために役立つ機能がどのように影響したかを描写してください。」

LLMでこのような物語形式のユーザーストーリーを作成することで、ユーザーが感じる微妙な心の揺れ動きや課題を掘り下げ、より具体的な機能提案やUXの改善に繋げることができます。


5. アイディアの壁打ちでの活用

ディレクターは孤独に考えをまとめることが多いですが、LLMを壁打ち相手として活用することで、アイディアの質が向上します。LLMと会話をする中で「どうしてそのアイディアが良いのか」「別の切り口は?」と考えを深めることができ、まるで人と話しているような感覚で進められます。これにより、ひとりで完結しない発想が生まれるので、ディレクション業務の強力なサポートとなっています。

さらに、人との壁打ちだとアイディアの個数に限界がありますが、LLMならどんな無茶振りでも颯爽と応えてくれます。例えば「アイディアを100個だして!」と後輩にお願いしたらパワハラになりそうですが、LLMならそんな心配は無用です。膨大なアイディアを気軽に提案してくれるので、アイディア出しに関するストレスが軽減され、発想の幅も広がります。

プロンプト例:
「このアイディアについて、違った視点での提案をしてくれますか?また、どうしてこのアイディアがユーザーにとって価値があるか、意見をください。」


6. UI設計フェーズでの活用

UI設計フェーズでのLLMは、「デザインレビューの頼れる相談役」として活躍してくれます。ワイヤーフレームを見ていると、「ここ、抜け漏れないかな?」と不安になることも。そこでLLMに確認してもらうと、まるで厳しい先生のようにポイントを見逃さず指摘してくれます。

具体例:

ワイヤーフレームを確認している時に、ふと「アクセスボタン…この配置でいいんだろうか?」と悩んだことはありませんか?LLMに「UIとしてどうか」を聞くと、まるで答えを知っているかのように「ここにボタンがあればユーザーが迷わないですよ」といったヒントが!おかげで、頭を悩ませずにユーザーフレンドリーなUI設計ができちゃいます。

プロンプト例:

「このワイヤーフレームの設計意図をクライアントに説明する文章を作成してください。特に、ユーザーの視線誘導や情報の優先順位について明確に述べてください。」

また、クライアントへのUI提案時には「これがなんでいいのか」を明確に伝えるために、LLMに説明文を作ってもらっています。言葉が曖昧になりがちな部分も、しっかりと芯を捉えた表現で整えてくれるので、クライアントも納得してくれることが多いです。


7. ワーディングの作成における活用

説明文やキャッチコピーを考える際、ユーザーにどう伝えるべきか悩むことがよくあります。その際、LLMに案を出してもらうと、意図をシンプルにまとめた表現が生まれ、伝わりやすさが格段に向上します。LLMが作成する案をもとに修正を加えながら、より効果的な説明やキャッチコピーを作成できるため、ユーザーコミュニケーションにおいても非常に重宝しています。

プロンプト例:
「この画面の目的をユーザーに伝えるためのシンプルな説明文を考えてください。また、魅力的なキャッチコピーもいくつか提案してください。」


8. デザインフェーズでの活用

デザインフェーズでの「デザインの裏付け説明」はLLMの腕の見せ所。デザインの良さを言語化するのって、意外と難しいですよね。「この色が視線を誘導する」とか言っても、うまく伝わらない…。でも、LLMを使うと視覚的な意図がスッと明確に伝わる文章が出てきます。

具体例:

デザイナーが提案した新しい配色で、ユーザーが欲しい情報に自然と目がいくように工夫した時。説明を考えながら「なんか…良い感じなんですけど!」と思っていたところ、LLMが「この色のコントラストにより、ユーザーの視線が自然に誘導され、重要な情報に集中させるデザインになっています」とまとめてくれました。まさに「そうそう、それが言いたかった!」という瞬間です。

プロンプト例:

「このデザインの視線誘導や配色の意図について、クライアントに伝わりやすい説明文を作成してください。デザインによってユーザー体験がどのように改善されるかも含めてください。」

デザインの意図がうまく伝わることで、クライアントも納得しやすく、結果的に承認もスムーズになります。


9. 開発フェーズでの活用

開発フェーズでは、ディレクターが仕様を記載する際に、LLMが見落としのチェックに非常に役立っています。ワイヤーフレームや要件の情報をもとに、過不足なく内容が揃っているかを確認することで、抜け漏れを防げるのです。

具体例:

ワイヤーフレームと要件をまとめている時、複雑な構成が絡み合い、どこか見落としていないか不安になることはありませんか?LLMに「この内容で過不足がないか」を尋ねると、抜けやすいポイントを見つけ出し、「この機能の手順を明確にする必要がある」などと的確な指摘がもらえます。結果として、開発チームへの指示もクリアになり、スムーズに進行するのがありがたいところです。

プロンプト例:

「この要件リストに基づいて、見落としがないか確認してください。特に、複数機能の連携が問題なく動作するかを考慮して、必要な補足事項があれば教えてください。」

追加の要件や仕様変更が発生した場合も、LLMで簡潔に内容を確認し、必要な情報をすぐに開発チームへ共有できるので、作業の遅れを防げます。


まとめ

LLMは、私にとって頼れる「チームメイト」のような存在です。プロジェクトの各フェーズで気軽に質問できたり、情報を整理したり、考えをまとめたりと、柔軟なサポートのおかげで業務効率がぐっと上がりました。特に、クライアントとのやりとりでの言葉選びや、複雑な要件の見落としを防ぐ際に、LLMがいることで安心感が生まれ、プロジェクトがスムーズに進むのを実感しています。

とはいえ、LLMはあくまでもサポート役。提案された内容をそのまま受け入れるのではなく、最終的に精査して判断し、より良い形に仕上げていくのは自分自身です。LLMが出してくれたアイデアに自分なりの工夫を加えることで、より高いクオリティの成果を目指せると感じています。

実は、ここまで読んでいただいたこのブログ記事も、LLMの力を借りて作成しました。まさに私が普段実践している使い方をそのまま反映し、文章の骨組みや表現を整えつつ、自分の視点を加えて仕上げています。LLMと一緒に作ることで、効率的でありながら、私らしさを感じられる内容になったのではないでしょうか。

エクストーンでは、ディレクターの業務効率化をさらに高めるために、毎週ディレクターが集まってLLMの活用法について議論しています。良かったプロンプトや新しいLLMの使い方を共有するほか、業務に関係のない生成AIにも遊び感覚で触れています。こうした交流の場があることで、日常の業務から一歩離れ、LLMを使いこなすための新たな視点や発見が得られる環境が整っています。これにより、常に最新の知識とスキルをアップデートしながら、LLMの可能性を実務に反映しやすくなっています。