
AIと自動化で議事録作成が爆速に
つい最近まで、会議の議事録は人間が必死にメモを取りながら作るものでした。
重要な発言を聞き逃さないように集中して、会議後に記憶を頼りに清書し...と正直、かなりの重労働でした。
でも、ここ数年でAIツールや音声認識技術が急速に進化して、状況は一変しました。
今では、Web会議の音声を自動で文字起こしする精度が驚くほど高くなり、誰が何を話したかまで正確に記録できるようになっています。AIによる要約機能も実用レベルに達していて、長時間の会議でも要点をきちんとまとめてくれます。こうした技術はもう「未来の話」ではなく、今すぐ使える現実のツールとして存在しています。
ただ、せっかく素晴らしいツールがあっても、文字起こしされたデータがバラバラに保存されていたり、チームへの共有が手動だったりすると、結局また手間がかかってしまいます。そこで今回ご紹介するのが、これらのツールを自動でつなげて、会議終了から5分以内に議事録の作成・保存・共有まで完了させる仕組みです。私も実際に使っていますが、もう手動の議事録作成には戻れません。
これから紹介する手法は、プログラミングの知識は一切不要で、非エンジニアであっても簡単にブラウザ上でクリックしていくだけで構築できます。
4つのツールをつなげるだけで仕組みが完成
今回の自動化では、それぞれ得意分野を持つ4つのツールを連携させて、議事録作成から共有までの一連のフローを構築します。各ツールが担う役割を整理します。

使うツールは4つだけ:
tl;dv
Web会議の録画と文字起こしを自動で行うツール。ZoomやGoogle Meetと連携して、発言者の識別も含めた高精度なトランスクリプトを生成します。議事録自動化の起点となるツールです。
Zapier
異なるWebサービス間を連携させるワークフロー自動化プラットフォーム。「トリガー」と「アクション」の組み合わせで、複雑な処理も視覚的に構築できます。今回のフローでは、各ツール間のデータ受け渡しを制御する中核的な役割を担います。
Notion
私たちの社内では、プロジェクト関連のドキュメントやナレッジをNotionに集約しています。今回作成される議事録も、検索可能な形でデータベースに蓄積していきます。
Slack
社内コミュニケーションの中心となっているSlack。議事録が作成されたら、関連するプロジェクトチャンネルに自動で通知を飛ばし、チームメンバーがすぐにアクセスできるようにします。
tl;dvから始める連携の作り方
実際のZapierワークフローを、スクリーンショットと共にご紹介します。各ツールのアカウントは作成済みという前提で進めます。
ステップ1:tl;dvの録画完了をトリガーに設定
トリガーとして「Transcript Added」を選択します。これにより、tl;dvで会議の文字起こしが完了すると、自動的にワークフローが開始されます。

設定画面では、以下の3つを指定します:
- App:tl;dvを選択
- Trigger event:「Transcript Added」を選択(文字起こし完了時に発火)
- Account:連携するtl;dvアカウントを選択
ステップ2:AIによる議事録要約
文字起こしされたテキストをAIに送信して要約を作成します。私たちはAzure OpenAIを使用していますが、ZapierのAIやChatGPTなど、お好みのAIサービスを選択できます。

設定画面では、以下の3つを指定します(※Azure OpenAIを利用する場合):
- App:Azure OpenAIを選択(ChatGPTやZapier AIなど他のAIサービスでも可)
- Action event:「Send Chat Message」を選択
- Account:連携するAzureアカウントを選択

Configureタブでは、AIへの指示内容を設定します:
- Deployment Name:使用するモデルを選択(例:gpt-5-mini)
- Message:議事録作成用のプロンプトを入力
プロンプトの例:
あなたはプロフェッショナルな議事録編集者です。 これから渡されるtl;dvトランスクリプトのみを根拠に、正確で、文脈を保った議事録を作成してください。 出力は、読みやすさと再利用性のために、**マークダウン形式(Markdown)**で構造化して記録してください。** ## 💡 議事録の目的 発言の要図・背景・流れを正しく残し、読み返せるアーカイブとする 対立・検討・提案・決定理由が追えるようにする 後から参照しても流れになるない、自然で読みやすい文章にまとめる ## 🎯 基本方針(絶対厳守) | 禁止・注意|内容| |-----|-----| | ❌ 推測・補足|議事に含まれない情報は書かない| | ❌ 不明瞭な箇所|【聞き取り困難】と明記|人名や用語も含む|
ステップ3:Notionの形式に合わせてテキストを整形
Formatter by Zapierの「Replace」機能を使用して、AIが生成したマークダウンをNotion向けに最適化します。具体的には、インデント付きの箇条書き(\n[ \t]+-)を通常の箇条書き(\n-)に変換しています。
これにより、Notionのデータベースに登録する際のフォーマットエラーを防ぎます。
設定画面では、以下の2つを指定します:
- App:Formatter by Zapierを選択
- Action event:「Text」を選択
Configureタブでは、テキストの置換ルールを設定します:
- Transform:「Replace」を選択
- Input:前のステップで生成されたAIの出力(Reply Message Content)を指定
- Find:\n[ \t]+-(インデント付きの箇条書きパターン)
- Replace:\n-(通常の箇条書きに変換)
ステップ4:Notionデータベースに議事録を登録
整形された議事録をNotionのデータベースに登録します。
設定画面では、以下の3つを指定します:
- App:Notionを選択
- Action event:「Create Data Source Item」を選択
- Account:連携するNotionアカウントを選択
Configureタブでは、Notionデータベースへの登録内容を設定します:
- Data Source:議事録を保存するデータベースを選択
- 名前:会議タイトル(tl;dvのMeeting Nameを指定)
- Content:ページ本文に記載する内容
- tl;dv Link:録画へのリンク(Meeting Recording Link)
- サマリ:整形済みの議事録(ステップ3のOutput)
- Content Format:Markdownを選択
ステップ5:Slackでチーム全体に通知
最後に、議事録が作成されたことをSlackの指定チャンネルに通知します。メッセージに会議名とNotionページへのリンクを含めれば、チームメンバーがすぐにアクセスできるようになります。
設定画面では、以下の3つを指定します:
- App:Slackを選択
- Action event:「Send Private Channel Message」を選択
- Account:連携するSlackアカウントを選択
Configureタブでは、Slack通知の内容を設定します:
- Channel:通知先のチャンネルを選択
- Message Text:通知メッセージを作成
- メンション、会議名、NotionページURL、tl;dv録画リンクなどを組み合わせ
- Send as a bot?:Yesを選択
- Bot Name:投稿者名を設定(例:議事録まとめ君)
- Auto-Expand Links?:Yesにするとリンクのプレビューが表示される
動作確認とワークフローの公開
すべての設定が完了したら、Zapierの「Test」機能で各ステップの動作を確認し、問題がなければ「Publish」でワークフローを公開します。 これで、会議が終わるたびに自動で議事録が作成され、5分以内にチーム全体で共有される仕組みが完成です!
議事録の自動化で手に入る自由
この仕組みを導入してから、働き方に大きな変化が生まれました。
時間という最も貴重なリソースを取り戻す
従来、議事録作成に費やしていた週xx時間。この時間がほぼゼロになったことで、本来注力すべきクリエイティブな業務や戦略的な思考により多くの時間を割けるようになりました。
組織の知識が自然に蓄積される
Notionデータベースに整理された議事録は、検索可能な組織の知的資産として機能します。「あの議論、いつだったか」という曖昧な記憶に頼ることなく、必要な情報にすぐアクセスできる環境が整いました。
情報の透明性が組織力を高める
会議に参加できなかったメンバーも、Slack通知から即座に内容を把握できます。情報格差が解消され、チーム全体の意思決定スピードと質が向上しました。
会議の本質に集中できる環境
「議事録を取らなければ」というプレッシャーから解放され、参加者全員が議論の内容に100%集中できるようになりました。これは単なる効率化以上の価値があります。
議事録の自動化は、単純作業からの解放だけでなく、組織のコミュニケーション品質そのものを向上させる投資です。情報が適切に記録・共有される仕組みは、チームの成長と発展の基盤となります。
エンジニアリングの知識がなくても、適切なツールの組み合わせで業務革新は実現できます。ぜひ、みなさんの組織でも議事録自動化への第一歩を踏み出してみてください。