
AI時代について、エンジニアと本気で話してみた
「デザイナーって、この先どうなるんだろう?」
最近、そんな話をする機会がかなり増えました。
1年前まで、AIは“効率化ツール”という印象が強かったように思います。リサーチをする、文章を書く、画像を生成する。そんな「補助的な存在」でした。
でも今は違います。プロンプトからUIを作り、ワイヤーフレームからデザインを生成し、デザインを読み込ませて別画面を展開する。さらにコードまで生成する。“作る”という行為そのものが、ものすごい速度で変わり始めています。
今回、デザイナーとエンジニアで、
- AIでUI制作はどう変わるのか
- デザイナーの役割はどう変わるのか
- Figmaは今後どうなるのか
- AI時代に必要なスキルは何か
について座談会を行いました。
最近はAI系ツールの進化スピードがあまりにも速く、「このままデザイナーの仕事ってどう変わるんだろう?」という不安や期待を、チーム内でもよく話すようになっていました。
そこで見えてきたのは、「デザイナーが不要になる未来」ではなく、“デザイナーの役割そのものが変わっていく未来”でした。
Figmaの価値はどこに残るのか
座談会でまず話題になったのは、Figmaの存在についてでした。
特に印象的だったのが、エンジニア側から出たこの意見です。
「デザイナーとエンジニアの間だけで見ると、Figmaの価値って薄くなっていく気がする」
もし最初からHTMLやコードベースで画面が作られているなら、実装側からすると、そのまま触った方が早い。実際、AIツール側もそちらへ向かっています。
最近のAI系デザインツールは、単なるモックアップではなく、HTMLベースでUIを生成し、そのまま余白やフォントサイズを編集できるものも増えてきました。
Figmaのようにレイヤーを見ながら、
- パディングを8pxにする
- 文字サイズを変更する
- コンポーネントを調整する
といった操作を、そのままコード上で行える世界です。
ただ、その一方で、Figmaにはまだ強い価値があります。
それが、「コミュニケーションの場」としての役割です。
クライアントとのレビュー、コメント、フィードバック、画面一覧での確認。こうした「合意形成」のUXは、まだ非常に強い。
つまりFigmaは、制作ツールというより、“チームで意思決定する場所”として価値が残っていくのかもしれません。
デザイナーとエンジニアの境界が曖昧になっている
今回の座談会で個人的に一番面白かったのは、AIによって職種の境界が急速に曖昧になっていることでした。
エンジニアがUIを作る。デザイナーがプロトタイプを実装する。ディレクターがAIに画面生成を指示する。
これまで分業されていた領域が、少しずつ重なり始めています。
実際、エンジニアの方からこんな話もありました。
「僕、もうコード書いてないんですよね」
この一言は、かなり衝撃でした。
もちろん、完全にゼロではありません。ただ、“1行ずつ書く”という時間は大きく減っていて、AIに生成させ、レビューし、方向を修正する。そんな仕事に変わってきているそうです。
これはデザイン側にも、かなり近い変化だと感じました。
これからは、「誰が作るか」よりも、「誰が判断するか」が重要になっていくのかもしれません。
AI時代、デザイナーは「作る人」から「判断する人」へ
座談会の中で、何度も出てきたのが「言語化」というキーワードでした。
AIは、かなり高い精度でUIを生成できるようになっています。でも、最後の品質を決めるのは、まだ人間です。
例えば、
- なぜこの画面は読みにくいのか
- なぜこの余白は気持ち悪いのか
- なぜこのトーンはブランドと合わないのか
こうした“違和感”を見つける力。そして、それをAIに伝える力。これが、かなり重要になってきています。
これまでデザイナーは、「なんか違う」を手で調整していました。
でもAIとの仕事では、その“なんか違う”を言葉にしないといけない。
例えば、「もっと読みやすくして」ではなく、
「メインメッセージなので、余白を広げ、視線を止めやすくしたい」
のように、意図を説明する必要がある。
これは、かなり大きな変化です。
それでも、デザイナーは必要なくならない
座談会の中で、個人的に少し安心した瞬間もありました。
「デザイナーが完全に手を動かさなくなることは、まだないと思う」
という話です。
AIは確かにすごい。でも、細かいニュアンスやブランドの空気感、違和感の調整は、まだ人間の感覚に頼る部分が大きい。
特にデザインは、
- バランス
- 空気感
- トーン
- 違和感
- 微妙な気持ちよさ
みたいな、“説明しにくい感覚”がかなり重要です。
そして、その感覚は、経験や観察から生まれるものでもあります。
だからこそ、“AI時代だからこそ、見る力や判断力が重要になる”という話は、とても納得感がありました。
AIを「使う」ではなく、「育てる」
今回かなり面白かったのが、「AIを育てる」という感覚でした。
エンジニア側では、
- プロジェクトのルール
- コーディング方針
- 命名規則
- 設計思想
などをAIに学習させているそうです。
つまり、「毎回ゼロから指示する」のではなく、“自分たちの考え方を理解したAI”を育てている。
これって、デザイナーにもかなり応用できそうだなと思いました。
例えば、
- 自分が好きなUI
- 過去に作ったデザイン
- ブランドトーン
- 配色ルール
- 余白感覚
- デザイントークン
をAIに渡していく。
そうすると、自分たちの“美意識”に近いアウトプットが出やすくなる。
これは単なる効率化ではなく、「自分の感覚を外部化していく作業」なのかもしれません。
3年後、デザイナーはどうなっているのか
座談会の最後に出た話が、とても印象的でした。
「3年後どうなっているか」を考えるより、「どうなっていたいか」を考えた方がいい。
これは本当にその通りだと思いました。
1年前ですら、今の変化をここまで予想できていた人は少なかったはずです。
だからこそ、未来を正確に当てようとするより、
- 自分は何を作りたいのか
- どんなデザイナーでいたいのか
- AIをどう使いこなしたいのか
を考える方が重要になっていく。
今回の座談会を通して感じたのは、AIによって“デザイナーが不要になる”というより、「求められるデザイナー像が変わっている」ということでした。
これから価値が高くなるのは、単にUIを量産できる人ではなく、
- ユーザー体験を考えられる人
- ブランドを理解できる人
- 違和感に気づける人
- AIに意図を伝えられる人
- チームを横断して考えられる人
なのかもしれません。
実際、今回の座談会でも、エンジニア・デザイナー・ディレクターの境界は、少しずつ曖昧になっている、という話が何度も出ました。
だからこそ、「デザインだけ」ではなく、
- 実装
- UX
- プロダクト思考
- AI活用
- 言語化
- リサーチ
まで視野を広げられるデザイナーは、これからさらに強くなる気がしています。
転職市場でも、「AIを使いながら、体験全体を設計できる人」の価値は、確実に上がっていきそうです。
おわりに
正直、座談会の最初は少し不安もありました。
「デザイナーって、この先どうなるんだろう」
そんな感覚もありました。
でも、話を聞いていて思ったのは、AIによって失われる仕事はある一方で、これまでできなかったことも、どんどんできるようになっているということです。
一人でプロトタイプを作れる。アイデアをすぐ形にできる。エンジニアと同じ土俵で会話できる。
だから今は、未来を怖がるより、まず触ってみること。試してみること。
その先に、これからのデザイナーの形が、少しずつ見えてくる気がしています。