エクストーンの金です。5/11 (木) より開催されている RubyKaigi2023 に参加しました。
RubyKaigiではカロリーが高い (技術的な抽象レイヤー的に低レベル、かつ難易度が高い) セッションが多いのですが、現地でそういった「むずかしそう」なセッションを楽しむための Tips についてお話しします。
準備
楽しむためには準備が大切です。
"Luck is truly where preparation meets opportunity." 幸運は、準備と機会がめぐりあった時に起こる。
ヴァーチャルリアリティの著名な研究者であったランディ・パウシュ氏が引用した古代の格言ですが、いろいろなことに当てはまります。
アブストラクトを読み込む
RubyKaigi の公式サイトでは、発表予定のセッションについてアブストラクトが公開されています。
まずこちらを読み込みましょう。アブストラクトが入力済みであるとセッション理解の難易度が下がります。
公式サイトに公開されている概要は英語ですが、自分が興味を持っているセッションの説明ですので、英語が苦手でも翻訳アプリなどを使ってある程度理解できると思います。
昨今であれば ChatGPT のような AI サービスを活用してみるのも良いでしょう。 以下、内容が複雑な JIT についてのセッション説明を日本語訳させてみました。
以下の英文を日本語訳してください。 (原文略)
Ruby 3.2 のリリースにより、YJIT にはパフォーマンスとメモリ使用量の両方の改善がもたらされました。特に、削減されたメモリフットプリントにより、YJIT は実世界のプロダクション環境での展開においてはるかに実用的になりました。そのため、YJITはもはや実験的なものとしてマークされておらず、Shopify は世界的なストアフロントレンダリングインフラストラクチャに YJIT を展開することを選択しました。 YJIT をプロダクションに適したものにすることは、最高のパフォーマンスを得ることだけではありません。このトークでは、YJIT をプロダクションで使用可能な状態にするためのストーリーとプロセスについて説明します。YJIT の創造に至るまでの研究アイデアから始まり、ベンチマークの選択とベンチマークスイートの作成、YJIT のベンチマークの方法論、さらには YJIT が行う特定の主要なパフォーマンス最適化や、データ駆動アプローチを用いて実際のプロダクションワークロードに対して YJIT を最適化する方法についても議論します。
文法レベルの細かい正しさとしては正確でないと思いますが、技術者が内容をとらえるには足りるのではないでしょうか?
セッションの登壇者によっては事前に発表スライドを公開していたり、ネタ元になったソフトウェアのコードを GitHub などで公開していたり、個人の SNS やブログなどで事前情報を出している方もいます。大いに備えましょう。
会場のサブスクリーンを活用する
現地会場では、発表者がスライドを映すスクリーンと別に、サブのスクリーンが用意されます。こちら会場で提供される 日本語 -> 英語 同時通訳の書き起こしを表示する用ですが、専門用語などの聞き取りや確認の際に助けになることがあります。
また、発表者が英語で話している際にもそのまま英語の書き起こしが流れますので、ヒアリングの助けになります。
サブスクリーンでは同時に、リモートセッションを視聴している参加者のコメント欄もあり、こちらも参考になります。
これらを活用するために、遠慮せずサブスクリーンの見やすい席に陣取りましょう。
SNSでの同時実況を駆使
会期中SNSでは、RubyKaigi 参加者が活発に発言しています。
特にセッション中は Twitter の公式ハッシュタグで同じセッション聴講者の発言を追うことができますので、こちらをウォッチすると識者の解説副音声のように使えます。
また、界隈のすごい人もおぼえることができます。
おわりに
RubyKaigiでは英語で発表されるセッションもあり、さらに内容的な難易度も高ければ参加を躊躇する人もいると思います。
自分も英語力については穴掘って埋まっていたいレベルですが、こういった準備をして興味がある内容の発表を聞けば何もわからない、ということは無くなりました。
RubyKaigiで発表されるセッションを 100% 理解できたという人はほとんどいないと思います。 しかし、参加しなければ得るものはゼロですが、参加して内容が 1% でもわかれば未来につながるすばらしい成果です。
"Experience is what you get when you didn't get what you wanted." 経験とは、求めていたものを手に入れられなかったときに、手に入るものだ。
こちらも前掲のランディ・パウシュ氏の言葉です。当日ぜんぜん理解できなかったと感じたセッションも、かならず力になっているはずです。
この言葉はこう締められています。
そして経験は、きみが提供できるもののなかで、たいていもっとも価値がある。
こちらの Tips が Happy Hacking の一助になれば幸いです。