5年間のフリーランスからの転機
エクストーンに入社してから、日々新しい発見と学びの連続です。今回は、なぜ私が5年間続けたフリーランス・一人社長という働き方から、エクストーンへの転職を決意したのか、そして入社後に感じているAIがもたらす仕事の変化について、お話ししたいと思います。
二つの軸:組織での成長とAIへの取り組み
フリーランスとして活動していた5年間は、クライアント先での常駐案件の遂行から、自社で受託した案件の外部パートナーへのディレクションまで、多様なプロジェクトマネジメントを経験しました。ビジネスとしては一定の成果を上げていたものの、案件の受注状況による収益の変動は、事業の持続可能性という観点で常に課題として認識していました。
そのような状況の中、プライベートでAIツールを活用し始めたことが転機となりました。「これが業務で本格的に活用されるようになったら、どのような変革が起きるのか」という問いが、私の中で大きくなっていきました。
転職活動では、この二つの軸を重視しました:
- 組織の中で長期的にスキルを磨き、より大きなインパクトを生み出したい
- AIを業務でどう活用できるかを学びたい
そして、この両方を満たしてくれたのがエクストーンでした。
AIがもたらした「思考プロセス」の変革
入社して印象的だったのは、チームメンバーがAIを積極的に業務で活用している姿でした。従来、私は企画書作成において、経験則に基づいた定型的なプロセスに依存していました。課題抽出、ヒアリング、ドキュメント作成という一連の流れに固執していたのです。
しかし、AIを活用することで、ドキュメント作成前の思考プロセスそのものが大きく変化しました。これまでは自分の経験や周囲の人材の知見に限定されていた情報源が、AIという新たな視点を得ることで、提案の質が向上し、作業効率も大幅に改善されています。
現在も習熟度を高めている段階ですが、チームメンバーからの実践的な指導を通じて、継続的に新しい活用方法を習得しています。
新鮮さと効率化の先にあるもの
現在は、プロジェクトの文脈や背景情報をAIと共有し、より精度の高いアウトプットを協働で生み出していくプロセスに、特に魅力を感じています。AIに情報を与え、対話を重ねることで、人間だけでは到達しにくい視点や解決策を発見できる瞬間があります。
しかし、ここで一つの問いが生まれます。現在は全てが新鮮で刺激的ですが、これが日常化した時、私たちは何に価値を見出すのでしょうか。
業界に参入した当初は、自分が関わったプロダクトが世に出ること自体に充実感を覚えていました。それが次第に、制作プロセスや提案活動における創造性に価値を見出すようになりました。AIによる効率化が進展した先に、私たちはどこに仕事の意義を見出すのか。これは、個人としても、業界全体としても考察すべきテーマだと考えています。
エクストーンのディレクターとして感じる役割の広がり
フリーランス時代は、SEOや広告などマーケティング領域のディレクションが中心でした。企画フェーズに深く関与する機会は限定的でした。
エクストーンでは、UX設計や企画提案における深度が異なります。ディレクターとして求められる役割の多様性には、正直なところ驚かされました。進行管理、品質保証、企画立案、提案資料作成まで、少数精鋭で遂行していく必要があります。
以前は分業体制が確立されており、プランナーやコピーライターなど専門職との協業が前提でしたが、現在は限られたメンバーで迅速に提案をまとめ上げることが求められます。この包括的なアプローチは、私にとって新たな挑戦であり、同時に成長の機会でもあります。
フラットな組織構造における考察
キャリアを通じて様々な組織形態を経験してきた立場から、フラットな組織について所感があります。
過去に100人〜数万規模の組織で勤務していた経験から言えば、階層型組織では直属の上司への相談がスムーズに行えるという利点がありました。一方、フラットな組織では、重要な意思決定において経営層と直接対話する機会が増え、これは新たな経験となっています。
また、会議について触れておきたいと思います。フリーランス時代や以前の制作会社や事業会社では、会議は必要最小限という認識でした。しかしエクストーンでは、定期的な会議が多く設定されています。
当初は作業時間への影響を懸念しましたが、これはチーム全体で情報共有を重視し、分業ではなく一体となってプロジェクトを推進するという会社の方針の表れだと理解するようになりました。個人の作業時間は制約されるかもしれませんが、チーム全体の認識を統一することで、結果的により質の高いアウトプットにつながっていると実感しています。
組織が成長していく中で、全員が実務と管理業務を両立させる現在の体制が、どのように進化していくのか。これは今後の興味深い観察対象です。
おわりに:変革期を生きる
フリーランスからエクストーンへの転職は、私にとって大きな転換点でした。AIという新しい技術との出会い、多様な業務への挑戦、フラットな組織での協働。全てが学びであり、成長の機会です。
多忙な日々が続くこともありますが、この変革期に身を置けることに意義を感じています。
AIがもたらす効率化の先に何があるのか、明確な答えはまだ見えません。しかし、その答えを共に探求できる仲間がいることが、現在の私にとって最も価値のある資産かもしれません。
これからも、新しい技術と向き合いながら、クライアントに真の価値を提供し続けていきたいと考えています。そして、効率化の先にある「新たな創造性」を発見していきたいと思います。